綺麗にノートを取るべきではないという話【成績アップの近道】
京大の理系学生で、中学受験向けの予備校でアルバイトをしているスギゾーと申します。京都大学に通って勉強しつつ、小学生を教えていることで、教育を与える側受ける側の両方を日々体験しています。
今回は、綺麗にノートをとることには意味がないというお話をします。
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はじめに
みなさんが学校や予備校で授業を受けていると、「ノートを綺麗に取りましょう」とよく言われることがあると思います。先生の板書を丁寧に写し、家に帰って見直しやすいようにという意味が含まれています。
しかし結論から言うと、ノートを綺麗に取ることに意味はありませんし、むしろ成績の伸びを妨げている可能性があります。「なぜ?」「クラスの優等生の○○君のノートは綺麗だ!」「後で見直すときに不便じゃないのか?」と思われる方も多いと思うので、これからそのような問いにお答えしたいと思います。
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「無駄に」綺麗なノートの特徴
「無駄に」綺麗なノートの特徴は以下のようなものです。
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カラフルな色使い
黒の他に4色以上の色ペンを使っていれば、カラフルなノートだと言えるでしょう。
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多用されたマーカー
体感としては全体の3割以上の文章にマーカーが引いてあったら、それは多用でしょう。
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必要以上に丁寧な字
まるで活字を目指しているかのように、字体や文字サイズの統一にこだわった文字です。
みなさんも心当たりがあるかもしれません。要は「華やかで見やすく、綺麗なノート」ですね。
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綺麗なノートが成績を下げる理由
綺麗なノートを作ることで、成績は下がります。理由は以下のようなものです。
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「綺麗なノート作成」が目標にすり替わる
ノートを取ることの究極の目的は、「授業の内容を自分のものにする」ことです。そのため、あとで見返した時に授業の内容を思い出すことができさえすればいいわけです。固定観念に囚われず冷静に考えれば、別に字の大きさや色使いに必要以上にこだわる必要がないのは明らかでしょう。他人に見せるのであればいざ知らず、自分のノートを読むのは自分だけです。そのため、多少汚い字であっても自分の見慣れた筆跡であれば十分読めます。
また、綺麗なノートを取る人にありがちな現象として、綺麗なノートを作ったことで勉強した気になって満足するというものがあります。綺麗にノートをとるために時間と気力を費やした結果、ノートの内容自体は頭にまだ入っていないのに既にやり切った感で力尽きてしまいがちです。その結果、「勉強しているのに成果がついてこない」という最悪の状況に陥ります。
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先生の説明を聞き洩らしやすい
綺麗な字や華やかな色使いでノートを取ることに集中していると、先生の口頭での説明を聞くことがそっちのけになってしまいます。多くの授業において、板書の内容は参考書に載っている内容であることが多く、思考法や本質は先生が口頭で話す内容に凝縮されていることが多いです。わざわざ参考書に載っている情報をせっせとノートに写すことに労力を費やしていると、肝心な本質情報を聞き逃すことになります。
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後で見たときのわかりやすさがおざなりになる
ノートを取ることの本質は授業の内容を自分のものにすることですが、そのためには家でノートを再び開いて、授業の内容を思い出すという作業が必要です。
綺麗にノートを取っただけでは、その授業で先生が何を伝えたかったのか、今の自分が理解していなかったことは何なのかといった大切な部分を記せていません。
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適切なノートのとり方とは?
では逆に、適切なノートはどのように取ればいいのでしょうか。自分は以下の点を意識することが重要だと考えています。
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色使いを絞る(3色まで)
色がたくさん使われているととっちらかって見えるので、肝心の内容が頭に入ってきづらいです。ですから基本的には黒、大切な内容は赤、その他備考は青、というように、それぞれの色に明確に役割を決めて少ない色でノートを取ることが望ましいです。
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論理構造を意識してノートを取る
単純に板書を取ったり口頭説明をメモするだけではなく、「○○だから△△」という論理構造がはっきりわかることを意識してノートをとるといいでしょう。これは理系科目だけではなく歴史系の科目でも有効で、例えば「飢饉が起こる→幕府が財政難に陥る→○○の改革がなされる」というように歴史上の出来事においても必ず理由と結果が存在するからです。
数学の板書などでも、黒板に書かれる具体的な解法だけでなく、なぜその解法を選択したかというところからノートを取っておけば、あとで見返した時にその解法を身に着けやすくなります。
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明日の自分に説明することを意識する←重要!
これは意外と意識していない人が多いと思っていて、この記事で一番伝えたい内容です。
人間は忘れっぽいので、授業を受けて家に帰っても授業の内容の大半は忘れています。ですから、ノートを取る際には「このノートを読む未来の自分は多分この授業の内容をほとんど覚えていない」と意識する必要があります。前述の論理構造の話ともつながるのですが、「この問題はなぜこの解き方で解くのか」「この式変形はどういう意味なのか」「なぜこの戦争が勃発したのか」というように、未来の自分がノートを読み返しただけでその授業の追体験ができる情報を書き残しておく必要があります。
この意識を持っておく利点として、未来の自分がこのノートを読んでどこでつまずくかを考えることで、自分の根本的な弱点に気づきやすくなります。
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おわりに
ノートを取る際にこれらの事柄を意識するようにすれば、自然と色ペンをせわしなく持ち帰る暇もなくなると思います。自分が思うに優等生の読みやすいノートというのは、「字がきれいで内容がまとめられている」といった類のものです。本人の性格上特に意識しなくても字はもともと綺麗で、その上前述したようなノートのとり方をスマートに実践しているというノートだと思います。ですから、いわゆる「無駄に」綺麗なノートとは対極の最強のノートです笑。
今回の記事を一言でまとめると、「すべて忘れ去った明日の自分のためにノートを取ってあげろ!」ということです笑。
それでは。